生鮮コーナーにあったので買ってきた。
てっきり最初は「青菜」や「赤魚」のような流通上の便宜的な名前かと思った。しかし、
ならば普通は青菜とラベルを貼るのでは?
「山菜」と書かれた野菜はたまに見るが、それは栽培種でないことを示すものであって青菜と畑菜の間にそのような違いはない、というより青菜は畑で取れるものだ。
一束100円なのも手伝って使いやすい野菜なのか興味が湧き、インターネットで調べる――前に、店頭に並んだこの野菜たちを観察することにした。
長い茎とその根元についた泥、ホウレンソウにも似たシルエット。葉には主脈とそれに沿って波打ちながら広がる葉縁。アブラナ科か?菜の花の腋芽を切りとるとこのような形になるはずだが、仮に菜の花なのであればラベルは「菜の花」となるはずで、畑菜ではなさそう。
実際菜の花はこれの隣でパックに入った茎頂部が「菜の花」と冠されて売られていたし、だいいち腋芽なら泥は付かない。
あまり長い時間をかけては周囲に迷惑なので、このあたりで予備観察を切り上げて答え合わせに移ることにする。いよいよ諸悪の根源、インターネットの出番である。
畑菜(はたけな)はアブラナの一種で、京都で採油向けに古くから栽培されてきた在来種のアブラナが食用に改良され、春先の若菜として利用されるようになったもののようです。 (畑菜(はたけな)の旬の時期と産地や選び方と保存方法 - 旬の食材百科)
はい正解。まぁ他にないわな。まさか畑菜という種があるとは思わなかったけど。
基本的にはなばなや小松菜、ホウレンソウなどの青菜類と同じ料理に使えると考えていいです。通常は加熱する料理に使います。(畑菜(はたけな)の食べ方や主な料理)
小松菜100円?そっかぁ……
2つ買って帰ることにした。
調理
まずは、洗って泥を落とした後、葉の一部分をちぎって口に入れる。元が採油品種だったと聞いていただけに顔がゆがむ程度のエグみを覚悟していたわりに、かじってみるとエグみは全くなかった。それどころか、甘味の中のわずかな苦味が心地よく、風味のあるキャベツのような食感がする。
塩を投入した湯に畑菜を入れ、硬さがなくなり全体が湯に浸かってから1分か2分経ったところでざるにあける。苦味を感じたのは嘘ではなかったようで、湯が淡い黄色に染まっていた。
次に豚肉ともやしを炒め、切った厚揚げを入れる。火が通ったところで畑菜を切り入れ、醬油と砂糖、みりんで味付けして塩と胡椒で整えて完成。
食
生でかじった時に直感した通り、非常に素直な味に仕上がった。火を入れるまえですらわずかにしか感じられなかった苦味はすっかり消え、シャキシャキとした食感を提供する彩り要因となってくれた。
小松菜やホウレンソウなどの他の青菜と比べると量が多く、さらに生産が地元なだけあって安価なので、これがしばらく冬場の食材として供給されるのはありがたい。
薄揚げも買ったので、一緒に醬油と出汁で煮ておばんさいにもする予定。